こうなったらいいな。ある1日。

2014年5月5日

宮入の朝、目覚める。まだ前日の酒が残っているらしい。今年の祭りは3日の宵宮からかなりの盛り上がりだった。4日も青物町では多くの担ぎ手が集まり、かなり興奮しながら担いでいた。その勢いで飲みに行ったので、明け方近くまで飲んでいたというわけだ。
普通なら二日酔いでどうしようもないかもしれないが、今日は祭り。二日酔いでもへっちゃらさ。という感じ。

今年の祭りも今日で最後である。僕達役員は少し早くに集合したが、続々と担ぎ手も集まってきた。2年前までちょっと小さい神輿だったが、年々担ぎ手が増えてきたので、昨年大きい神輿を新しく作った。その神輿を下は10代から上は50代のやつまで、みんなで担いでいく。事務所では、既に担ぐのをやめたおっさんたちが飲んでいる。朝っぱらから飲んでいる。あと20年もしたら僕もこうなるのだろうか。ちょっと楽しみである。

自分達の神輿の横を、他の町内の神輿が通り過ぎていく。若いやつも多い。
まだ午前中だというのに見物人も出始めている。自分の町内だけでなく、小田原の祭り全体が盛り上がっているのを肌で感じる。うんうん。すごく気持ちがいいぞ。

昼過ぎに、小田原駅方面へ担いでいくと多くの町内の神輿とすれ違う。どこの町内も見知った顔が多い。おぉ、RとCがいる。相変わらず元気。みんな祭りが大好き。他の町内の知り合いに会って、挨拶をしたり、ちょっと話をしたりするのもまた楽しい。みんなで一体となってやっている感じ。つながりを感じる。駅前で神輿を見ている人垣の中にも友達の姿を見掛ける。手を振ってあいさつ。
普段は休日閉めている商店もこの日ばかりは店を開けているようだ。そうでない場合も店先で親戚と飲んでたりする。
10年前は、祭りに興味のある友達はみんな担いでいたけど、小田原の祭りを好きな人の数が確実に増えているってことだろう。祭りが、今この場に関わっている全ての人のつなぎ役になっているようだ。

そして夜。
宮入の順番を待つ神輿が青物町商店街の通りに1基また1基と集まってくる。宮入までまだ2時間くらいあるというのに2重3重の人垣である。何でも今は小田原の祭りを見物に行くための旅行パックもあるとか。周辺の旅館や民宿は、どこも満室らしい。その中で祭りに出てるってことは、すごく興奮する。熱狂的というのか、なんというのか、担いでいる人間はもう興奮しきっている。それが伝染したのか見物人もかなり興奮しているらしい。

いよいよ宮入である。
今年は14番目。ちょうど真ん中である。松原神社の周りには、何時間も前からたくさんの人が待っていたらしい。テレビや新聞の地方局も取材に来ているらしい。写真載っちゃうかな?酔っ払いだけど。
神社の参道入り口にある山車で子ども達がお囃子を弾いている。笛と太鼓だけなのだが、小田原独特のもので、これを聴くと更に一段階興奮する。
今年の宮入の木遣は會長とNと僕。いよいよだ。やばいやばい。イッてしまいそうだ。木遣を三本掛けた後、神社まで神輿が一気に駆け抜ける。3年前に市と県の無形文化財に指定されたけど、走るのが小田原の神輿の特徴である。神社に宮入する。あぁ、今年も祭りが終わってしまう。でも、今年の祭りが終わったら、もう来年の祭りのことを考えてるのだろう。多くの人が祭りに関わっている。それによって、おっさんと若者とか、違う町内の人とか、普段会わないような人とつながりが出来ている。みんな毎日が楽しいらしい。もちろん僕もだ。

なんてなったらよいなと思う。